Claudeの新しいDocs・Slides・Designを、自分の記事一本で試しました
Sep 23, 2026
9月16日、Anthropicは、Claudeとの会話の中で文書・スライド・デザインを作れるようにすると発表しました。発表を読むだけでは実感がつかめなかったので、自分が書いたAIブリーフィング9月17日号を素材にして、Docs、Slides、Designの三つを最後まで通して使ってみました。
試してみると、公式の説明からは読み取りにくいことが三つありました。
- 文書をスライドに変換するボタンは、ありませんでした
- 新しさの中心は、会話の中で作ったものを、人がその場で直せるところでした
- 先に見た目のルールを渡しておかないと、AIの好みで作られます
何が発表されたのか
発表の中心は、これまで別の入口だったCowork(長めの仕事を任せる場所)を、普段の会話に統合することでした。作業を始めた場所から別の場所へ文脈が引き継がれない、という利用者の声が統合の理由として挙げられています。Claude DocsとClaude Slidesは同じ日に新しく加わり、4月から別の場所にあったClaude Designも、会話の中で使えるようになりました。つまり三つとも、一つの会話の中で使う道具として位置づけられています。
文書やスライドは人が直接編集でき、コメントを残すことも、リンクで共有することもできます。統合はProとMaxのプランから数週間かけて順に届き、TeamとFreeは後日とされています。Docs、Slides、Designの三つは、有料プランでのベータ提供です。画面にまだ出ていない方は、順番待ちの可能性があります。(Anthropicの発表)
外部サイトへのリンクは新しいタブで開きます。
ひとつ、訂正を添えておきます。9月17日号では、この発表を「会話から文書を作り、スライドへ変え、デザインを整える」とまとめました。公式の動画の見せ方に沿った要約でしたが、実際に試してみると、この「変え」は少し違っていました。詳しくは後ほど書きます。
試したこと
素材は、AIブリーフィング9月17日号の記事一本です。これを、次の順に展開しました。
- Docsで、記事を一枚のまとめにする。6つの区画に、表・グラフ・流れ図を入れました
- Slidesで、9枚のスライドにする。1枚に1つの主張を置き、表紙と締めを加えました
- Designで、X用の画像を2枚作る。記事のヘッダー(5:2)と、投稿用の画像(16:9)です
ここまで、すべて一つの会話の中で作っています。確認したのは2026年9月21日から22日にかけて、Maxプランです。素材は記事一本だけで、ベータ版の機能のため、今後変わる可能性があります。
変換ボタンは、ありませんでした
文書を作ったあと、スライドへ変換する機能があるのかを確かめましたが、ありませんでした。Docs、Slides、Designの三つは、それぞれ別々の成果物です。文書の内容がスライドに引き継がれたのは、Claudeが同じ会話の流れを覚えていて、それをもとに改めてスライドを作ったからでした。
近いのは、同じ打ち合わせに出ていた人に、議事録、発表資料、告知の画像を順に頼む場面かもしれません。一枚の書類が形を変えて流れていくのではなく、話を共有している相手が、そのつど新しく作ってくれる、という形です。
公式の文章を読み返すと、文書・スライド・デザインは種類ごとに別々に説明されていて、変換できるとは書かれていません。報告書とスライドを作る例でも、両方が揃うのは同じ会話から作ったからだ、と説明されています。「文書からスライドへ」と一続きに見えるのは、動画や紹介記事の見せ方によるところが大きいのだと思います。9月17日号の「スライドへ変え」も、その見せ方をそのまま写した表現でした。
新しいのは、作ったあとに直せること
会話の中でスライドやページを作ること自体は、以前のClaudeにもできました。ただ、そうして作ったものは完成品として渡されるだけで、一文を直したいときも、Claudeにもう一度頼み直す必要がありました。
今回は、そこが変わっていました。Docsは本文をそのまま書き換えられ、Slidesは文字をクリックして直せます。Designは、4月の登場時から画面の上で直せる仕組みを持っていましたが、それが別の場所から会話の中に来ました。会話の中で作ったものを、その場で、それぞれの編集画面で直せるようになった、というのが今回の変化だと受け取っています。
発表では、成果物に残したコメントがClaudeへの依頼として届くとされていますが、この流れは今回は試していません。
発表の文章を読んだ範囲では、この「以前との違い」ははっきりとは書かれていませんでした。以前の使い方を知らない人には、直接編集できることが当たり前の機能に見えるかもしれません。
9月17日号では、新しいAIを比べるときの問いとして、三つを挙げました。何を渡すか、途中を見られるか、どこで人に戻るか。この三つに当てはめると、変わったのは「どこで人に戻るか」です。以前は、完成品を受け取った時点で、初めて人の手に戻っていました。いまは、作っている途中のどこででも、人が手を入れられます。
AIの好みで、作られていました
最初にできたスライドとX用の画像は、朱色を差し色にして、別の明朝体で組まれていました。見た目としては整っていたのですが、自分のブランドで決めている見た目(生成りの紙の色の地、藍の見出し、赤は原則として使わない)とは、違うものでした。
考えてみれば当然で、何も伝えなければ、Claudeは自分で配色と書体を選びます。9月17日号で「AIに何を渡すか」を問いとして書いたのに、自分自身が見た目のルールを渡していなかったわけです。
そこで、手元にあったブランドデザイン原則(色9色、書体3種、余白、部品の型をまとめた文書)をClaudeに渡し、「デザインシステム」として登録しました。デザインシステムは、見た目のルールブックのようなものです。一度登録しておくと、スライドやデザインを作るときの基準になり、編集画面の色や文字の選択肢にも、そのルールが並ぶようになります。
ルールブックを渡して作り直すと、朱色の差し色と別の明朝体で組まれていた画面が、生成りの紙の色の地に藍の見出しという、ブランドどおりの画面に揃いました。ただ、ここにも思い込みがありました。登録すれば自動で揃うと思っていたのですが、すでに作ったスライド9枚と画像2枚は、Claudeが一枚ずつ書き直していました。スライドの中では、色が一か所ずつ数値で書き込まれているため、あとからルールブックを登録しても、それだけでは変わらないのです。刷り終わったチラシの色が、新しい規定を作っても変わらないのと同じだと思います。
一方で、ルールブックを先に渡してから新しく作ったスライドは、一枚目から揃っていました。
なお、デザインシステムを「既定」に設定して、名指ししなくても新しいスライドに効くかどうかは、今回は試していません。一枚目から揃ったスライドは、デザインシステムを名指しして作ったものです。
実務で使うなら:書き出してみた結果
作ったものを、他の場所に持ち出せるかも確かめました。公式が挙げているDocsの書き出し先はWordとGoogleドキュメントですが、ブログに持ち出したかったので、HTMLとWordの二つで試しました。
| 要素 | HTMLで書き出すと | Wordで書き出すと |
|---|---|---|
| 見出し・段落・箇条書き・表 | 正しい構造のまま残る | Wordの見出し・箇条書き・表として残る |
| 見た目(色や書体) | 付かない。装飾のない本文だけが出る | 付かない。Wordの標準の書体と文字色のまま |
| グラフ | 消える。図の説明文だけが残る | 画像として残る。数値を直せるグラフにはならない |
| 流れ図 | 図にならず、元になるコードの文字列で出る | HTMLと同じく、元になるコードの文字列で出る |
| 作成者の表示 | 名前ではなく、内部の識別番号で出る | 「@Someone」という仮の表示で出る |
グラフを残したいなら、Wordのほうが向いています。ただし画像なので、数値を直すときは作り直しになります。ブログに持ち出すなら、HTMLは本文の素材としては十分に使えますが、グラフや図は別に用意し、見た目は持ち出す先で付け直すことになりそうです。作成者の表示は、HTMLでは内部の識別番号、Wordでは「@Someone」という仮の表示で、どちらも名前にはなりませんでした。公開する前に一度確かめておくと安心です。
スライドのPowerPoint形式での書き出しは、今回は試していません。
試すなら、この順番で
これから試す方には、次の順番をおすすめします。
- 見た目のルールを、先に用意する。 ブランドの色や書体が決まっているなら、デザインシステムとして登録してから頼みます。まだ決まっていなければ、使いたい色と書体を最初の依頼に書き添えるだけでも、仕上がりは変わると考えています。うまくいったかは、最初の一枚の地の色と見出しの色が、指定どおりかで分かります
- その場で直す前提で頼む。 最初の一回で完成させようとせず、できたものに直接手を入れていくほうが、この仕組みに合っています。一文を自分で直してみて、Claudeに頼み直さずに済んだなら、使い方が合っています
- 書き出したものは、素材として扱う。 持ち出した先で、図と見た目を整える一手間を見込んでおきます。書き出したら、図とグラフが残っているかを、持ち出し先で一度開いて確かめます
まとめ
9月17日号では、新しいAIを比べるときに、三つの問いを機能欄の横に足すことを書きました。同じ問いを、Claudeの新しい機能そのものに当ててみると、こうなります。
| 問い | Claude Docs / Slides / Design |
|---|---|
| 何を渡すか | 会話の内容と、見た目のルール。ルールを渡さなければ、AIの好みで作られる |
| 途中を見られるか | できたものが、はじめから文書・スライド・デザインの形で見える |
| どこで人に戻るか | 作っている途中のどこででも、人が直接直せる(コメントでの依頼は今回未確認) |
「何を渡すか」は、他のAIについて書いた問いでしたが、自分で試してみても、同じところに行き着きました。渡したものの分だけ、返ってくるものが揃う。道具が新しくなっても、そこは変わらないようです。
よろしければ、ご自身の資料一本で、同じ順番を一度試してみてください。
AIと人の協働について、構造から考えた記録を、ほかにも書いています。
考え方の記録を、ときどきお届けします。
AIと人の協働について、構造から考えたことを、メールで少しずつ。
急かすことはしません。よろしければ、どうぞ。
迷惑メールは送りません。いつでも解除できます。