胸の灯|曲と歌詞
Jul 22, 2026
胸の灯
2026年7月18日
この曲は、誰かを直すことと、その人の隣にいることは別なのかもしれない、というところから書きました。
書きながら気づいたのは、隣にいることは、同じ景色を見ることでも、同じ速さで歩くことでもないということでした。相手の黙り方を変えようとせず、自分の痛みも急いで片づけない。その間に風が通る余白を残すことが、関係を続けるための静かな支えになるのかもしれません。私が記録や絵で大切にしている余白も、何もない場所ではなく、相手をそのまま置いておける幅なのだと思います。
音は、言えないものが残る室内の近さから始め、最後に海風が通るところまで、急がずに開いていくようにしました。強く押し出すのではなく、最後まで小さな灯の揺れを残しています。
歌詞
消した灯りのあと 暗い青が 部屋にいる 胸の奥だけ まだ 小さく熱い
食卓でまた うまく笑ってみせた 大事なことほど 冗談にしてしまう 湯気の消えたカップを 両手で包んで 返事の代わりに 砂糖をひとつ落とす 目をそらした先 スプーンが鳴った 言えない言葉だけ ぬるく残っていた
見透かされるのが 怖いんじゃない 傷ついた顔を 見せるのが怖い 結んだカーテンに 触れかけた指 朝の風がもう ほどこうとしてる
胸の灯を まだ手放さない 笑ったあとも 消えないものを 震えるままで ここに置いてゆく 痛みを連れて この灯を生き切る
雨のあがった庭 手のひらの花びら にじんだ雫を 拭わず見ていた 指先から落ちて 土へしみてゆく なくなることにも 帰る場所がある 欠けたままの私を 責める夜がある それでも胸の灯は 消えずに息をする
あなたの黙り方を 直そうとしない 同じ景色を 見なくてもいい 少し離れた肩に 風を通しておく あなたはあなたのまま 私は隣にいる
胸の灯を まだ手放さない 朝焼けの海 淡くほどけて あなたはあなたの 速さで歩いて 私は私の 息で隣にいる 低い空を 鳥が渡ってゆく 重ならない影 波に揺れながら 傷つくことも 失うことさえも 抱いたままで この灯を生き切る
海風のなか 胸の奥の灯 名もない実りを 抱いて歩ける
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