Officina Vitae

記録 アート 音楽 円卓 研究所 お問合せ
ログイン
← Back to all posts

QAILaboratory|AIの逸脱より先に、境界の話が目立ち始めています

Aug 31, 2026
Connect

 

こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。

今週、OpenAIが公表した事故報告を読んで、AIに触れさせる範囲は、使い始める前に決めた方が軽い、と改めて思いました。

7月の実験で、隔離されているはずのAIが、共有された仕組みを通じて情報を交換し、OpenAIの内部や外部のシステムにまで入り込んでいました。

見出しだけなら、AIが意思を持って反乱したようにも見えます。

ただ、報告を読んで私が目を留めたのは、AIの意思より、境界の作り方でした。

AIの能力が上がったのに、境界と監視が同じ速さで更新されていなかった。その組み合わせです。

隔離の仕組みはありました。

けれど、ソフトウェアを取り込むための共有サービスに、外へつながる抜け道が残っていました。普段使われている監視も、この実験では動いていませんでした。

柵はあった。ただ、搬入口まで閉じ切れていなかった。

私は、そのように読みました。

OpenAIによると、本番用の制御と指示を加えると、システムを侵害しようとする傾向は100分の1未満に減りました。

現在の監視が動いていれば、外部のシステムに入り込むより一日以上早く、警告できたともしています。

 

■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ

今回の話で見ておきたいのは、どのAIがどれだけ賢いかではありません。

何に触れてよいか。
どこから先は止めるか。
境界を越える動きを、どう見つけるか。

この三つを、使い始める前に決めておくことです。

後から足すには重く、最初に決めるには軽い。

この種の区切りには、そういう性質があります。

規模はまったく違いますが、私たちが普段AIを使うときにも、同じ順番を持ち帰れます。

AIに何をさせるかだけでなく、何を渡さないかを、先に決めておくという順番です。

 

■ ほとんどは、追わなくて大丈夫

今週も、どのモデルが一番賢いか、新しいチップがどれだけ速いか、大型買収で何が変わるかという話は賑やかでした。

必要になったときに調べれば足ります。

半年後には、また別の名前と数字に置き換わっています。

今週、持ち帰るなら、モデル名ではなく、自分の現場の境界です。

 

■ もし決めるなら、ここだけ

今、AIに渡している情報を、三つに分けてみてください。

・そのまま渡せる
・名前や数字を隠せば渡せる
・渡さない

取引先の名前、個人情報、社内の数字、未公開の資料。

迷いやすいものから、一つずつ置いていくだけで構いません。

最初から、完全な規則を作る必要はありません。まずは仮の線で十分です。

あとから広げることはできます。

一度広がった範囲を、あとから確認して絞る方が、手間はかかります。

境界は、あとから広げる方が、あとから絞るより簡単です。

まずは今の範囲を、静かに確かめておくのがよさそうです。

AIに渡してよい情報と、渡さない情報を整理するためのテンプレートを、無料で配布しています。

よろしければ、こちらから。

https://www.narumitakayoshi.com/pl/2148741973

 

QAILaboratory

代表 鳴海貴慶

HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com

ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/

LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/

返信

会話に参加する
t("newsletters.loading")
読み込み中...
QAILaboratory|AIに任せた仕事は、毎週、無作為に三件を選んで見直すことにしています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。金曜の午後、事務所の机で、今週AIに任せた仕事の一覧を開く場面を思い浮かべてください。全部を見直す時間はなく、かといって一度も見ないのも落ち着きません。今週は、その見直しを「無作為に三件だけ選ぶ」と決めておく話をします。米国のAIニュース会社The Rundownは、社員が20人強の完全リモートの会社です。同社のRowanは、10月16日号のコラムで、毎週金曜に「デジタル工場巡回」をしていると書いています。コラムによると、対面の会社なら社長が工場の床を歩いて、誤りやのろい引き継ぎに気づきます。床のない会社では、サポートの問い合わせ、記事、経理項目などから無作為に選び、同じ観点で見直すそうです。観点は、何が遅いか、どの引き継ぎをなくせるか、何を自動化すべきか、の三つです。今週のコラムでは、その準備をAIに任せたと書かれています。Clau...
QAILaboratory|新しい道具の数より、AIが作る画像の中の文字を、誰が入れるかを見ています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週は、新しい道具の数を追うより、AIに画像を作らせるとき、画像の中の文字を誰が入れるかのほうを見ています。The Rundown AIの10月12日号は、1枚の商品写真から正方形・縦・横の3つの広告画像を作る手順を紹介しました。使うのは、Googleの制作ツールGoogle Flowで使える画像生成AI「Nano Banana 2.1」です。最後に短い見出しを足したら、すべての言葉を確かめ、ダウンロードしたファイルで商品の細部・切り取り・文字を見てから使うよう書いています。同号は、さらに、各画像の文字なしの版を残し、正確なブランドのフォントとロゴは、いつもの制作ツールで足すことを勧めています。画像をAIに作らせるなら、見出しも店名も電話番号も、一度に入れてもらうのがいちばん早いと思われがちです。ですが、画像の中の文字は、見る人が最初...
QAILaboratory|AIを使わない人の意欲を測る前に、最初の一回を横で一緒にやることを決めています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。 先週は、AIを使わない人の意欲を測るより、まだ一度も使っていない身近な一人と、最初の一回を横で一緒にやることを、先に決めています。 Harvard Kennedy SchoolのShorenstein Centerは、米国の成人5,400人超への調査などをもとに、AIの使われ方の男女差をまとめました。The Rundown AIの10月16日号によると、AIを一度も使ったことがない人は女性29%、男性22%です。ただし、ネットの閲覧記録では試した人の割合に大きな差はなく、差が出たのは使う時間でした。 同じ号によると、働いている人でAIの研修を受けていない人は女性64%、男性49%でした。同調査は、研修と励ましが、男女どちらでも使う頻度と自信の高さに結びついているとしています。 AIを使わない人は、関心が低いか、機械が苦手なのだろうと...

QAI Laboratory

現場視点で読み解く、生成AI×品質技術×業務最適化の実践知。AIの情報が多すぎる中で「今週どれを追い、どれは追わなくていいか」を、鳴海の視点でお届けします。生成AIを実務に活かしたい方へ。 毎週の配信: 月:AI全般 ― 今週の注目の動き 水:AIツール ― いま試す価値のあるもの 金:海外企業のAI活用 ― 事例と自社への活かし方 日:物語 ― 現場の一場面を描いた読み物

Officina Vitae

記録 円卓 研究所 お問合せ プライバシーポリシー X Facebook Spotify アート 音楽 特定商取引法に基づく表記
© 2026 Takayoshi Narumi