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QAILaboratory|追いかけるのをやめた朝に、見えたもの

Jul 25, 2026
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こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。

彼は、相続を専門にする税理士だ。事務所は自宅の一室で、顧客は一人で抱えている。ここ数か月、朝の習慣が変わっていた。目が覚めるとまずスマホを手に取り、AIのニュースを追う。その朝も、海外の新しいAIが、これまで一番とされていたモデルを追い抜いた、という見出しが並んでいた。少し下には、専門家たちが「変化に備える時間は、もう長くはない」と声明を出した、という記事もあった。

読み終えると、いつものように胸の奥が少しざわついた。乗り遅れているのではないか。夜、依頼の書類を片づけたあとに、話題になっていたツールをいくつか開いてみる。触っているうちに日付が変わり、翌朝はまた新しい見出しが待っている。追いついた、という実感は、なぜか一度も湧かなかった。

その週の午後、古い顧客との面談があった。父親を亡くしたばかりの女性で、兄弟の間で少し話がこじれていた。数字の話よりも、彼女がどう切り出せば角が立たないか、という相談だった。彼は書類を脇に置き、これまで見てきたいくつもの家族の景色を思い出しながら、言葉を選んで話した。帰り際、彼女は深く頭を下げて、「先生に相談できて、本当に良かったです」と言った。

事務所に一人残って、彼はしばらく机の前に座っていた。今日のあの時間に、朝から追いかけていたニュースは、ひとつも関わっていなかった。新しいモデルが何位になろうと、あの相談の席で必要だったのは、彼がこれまで積んできたものだった。

任せられるものと、自分にしか渡せないものは、初めから別の場所にあったのかもしれない。何を追うかを決めるより先に、自分にしかできない仕事がどこにあるのかを、彼はまだ一度も、静かに見きわめてはいなかった。

翌朝、彼はスマホに手を伸ばすのを、少しだけ待ってみた。追いかけるより先に、今日会う人の顔を思い浮かべる。それだけで、机に向かう気持ちが、いつもより軽かった。

あなたが本当に手放してはいけない仕事は、今、どこにありますか。

QAILaboratory

代表 鳴海貴慶

HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com

ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/

LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/

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