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QAILaboratory|「同じ指示文なのに、なんで違うんですか」

Jul 31, 2026
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こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。

木曜の夕方、若手の一人がノートパソコンを抱えて、彼の席まで来た。画面には、先月から使えるようにしたAIに書かせた検査報告の下書きが開いている。「先輩と同じ指示文を入れたんですけど、出てくるものが全然違うんです」。

彼は品質管理の部署をまとめている。春に全員が使えるようにして、研修も二回やった。それでも、実際に仕事が速くなったのは三人だけだった。その三人が何をしているのか聞くたびに、「なんとなく、こんな感じで」という返事が戻ってくる。うまい人の画面をそのまま録って残せたら、と思ったこともある。操作を録って手順に変える機能が出たという記事を読んだのも、その頃だった。

若手を座らせて、うまくいっている先輩を呼んだ。二人の画面を並べ、同じ指示文を入れてみる。出てきた文章は、確かに似ていた。違ったのは、そのあとだった。先輩は下書きを読んで、単位の揃っていない数値を直し、結論の一文を前に動かし、最後に「この根拠はどの記録から取ったのか」と書き足して、もう一度渡していた。三回。若手は、一度も渡し直していなかった。

「これ、手順って言われても困るんですよ」と先輩が言った。「毎回、出てきたものを見て決めてるので」。

彼は、机の端にあった紙を引き寄せて、先輩が今やった三つを、順番に書き写した。まず単位を揃える。次に結論を先に出す。最後に根拠の出どころを添える。何を書かせるかの指示は、研修で全員に配っていた。渡していなかったのは、その隣に置く、どう進めるかの数行だった。

翌週、彼は先輩の隣に座って、質問の仕方を変えてみた。何をしたかではなく、どういう順で考えたかを聞く。一時間で、A4の紙が八行ぶん埋まった。上に「検査報告の書き方」と書いて、共有の棚に置いた。

配ったのは道具で、渡せていなかったのは順番のほうだったのかもしれない。うまい人が休んだ日に同じものが出せるかどうかは、その紙が机の上にあるかどうかにかかっている。

あなたの現場でいちばんうまく使えている人の頭の中は、もう紙になっていますか。

QAILaboratory

代表 鳴海貴慶

HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com

ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/

LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/

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