QAILaboratory|大きなAI導入の話が、そろって「線引き」に戻り始めています
おはようございます、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、ヘッジファンドのBridgewaterは、自社の投資判断データで訓練した小型のAIが、専門家の評価データを使った再訓練で正答率84.7%に達し、そのコストを大手の汎用モデルの約14分の1に抑えた、と報じられました。汎用モデルの平均は約50%でしたから、特定の仕事に絞って仕込んだAIが、汎用の強いモデルを上回った形です。
海外の大企業がAIで成果を出したと知ると、その導入のやり方を真似れば、自分たちも同じように成果が出る、と思いがちです。ただ、今週のいくつかの事例を並べてみると、効いていたのは規模や派手さではなく、「どこを人に残すか」の線引きのほうだったように見えます。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
一つ挙げるなら、成果を出した事例が、そろって「任せる範囲を絞る」方向だった点だと考えています。Bridgewaterは汎用モデルに丸ごと任せず、自社の判断データで仕事を絞り込みました。金融のMorgan Stanleyも、照合というミスの許されない業務では、AIの裁量をあえて下げることでミスを減らした、と報じられています。強いAIに広く任せるより、任せる範囲を狭く定める。その線引きのほうに、見るべきものがあると思います。
■ ほとんどは、追わなくて大丈夫
逆に、どの会社が何人にAIを配ったか、何十億ドルを投じたか、といった規模の話は、いま急いで追わなくても大丈夫だと考えています。CiscoやMicrosoftのような規模の数字は、そのまま真似られるものではありませんし、自社の現在地と規模が違えば、真似ても成果には直結しません。Fordのように、AIを広げた反動で350人のベテランを呼び戻した、という揺り戻しも同じ週に起きています。規模の大小は、あなたの判断のよりどころにはなりにくいと思います。
■ もし決めるなら、ここだけ
一つだけ決めるとしたら、自分の仕事の中で「ここはAIに任せる/ここは必ず人が最終確認する」の線を一本、自分の言葉で決めておくことだと思います。真似るのは、海外企業の規模ではなく、この線の引き方のほうです。事例の表面をなぞるのではなく、その裏で誰が最後の判断を持っているかを見て、自分の現場に置き換える。そうして初めて、他社の成功は、自分の材料になると思います。
大きな導入の話は、これからも続きます。そのたびに規模に気を取られるより、「どこを人に残しているか」の一点で見るようにすると、真似るべきものと、そうでないものが、静かに分かれてくると思います。
任せる範囲を決めるときの、入力してよいもの・避けたいものの目安を、テンプレートにまとめています。よろしければ、こちらから。
QAILaboratory
代表 鳴海貴慶
HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/
ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/
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