QAILaboratory|AIの答えを前に、確かめ方が決まっていない日に
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、OpenAIは未公開のモデル「Astra」が、30年近く動いていなかったものを含む数学と計算機科学の難問10件を解いたと発表しました。証明はすべてLeanという証明支援系で形式検証されており、成功した実行分のトークン費用は合計でおよそ2,000ドルだったと説明しています。
こうした知らせを見ると、専門家の判断そのものが機械に置き換わり始めたように感じられます。逆に、数学の話は自分の仕事とは縁のない世界だと片付けたくもなります。どちらも少し違うと思っています。今回いちばん効いたのは、モデルの賢さよりも、出てきた答えが正しいかどうかを人が読み込まずに確かめられる形が、その分野にはもともとあったことのほうだと見ています。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
目を留めておくとよさそうなのは、AIが深く入り込んでいく順番のほうだと思います。数学には、正しさの確かめ方が先に用意されていました。だから今回は「AIの答えを信じてよいか」で揉めずに済み、証明が通ったかどうかだけが残りました。逆に言えば、確かめ方が言葉になっていない仕事では、出てきたものの良し悪しが人の印象の話になってしまい、任せるかどうかの判断がそのたびに振り出しに戻ります。ここは、自分の仕事に置き換えて考えられる場所だと思います。手元にある仕事で、出てきたものが合格かどうかを何で判断しているか。それが言葉になっているかどうかで、任せられる範囲は静かに変わってくるのだろうと考えています。
■ ほとんどは、追わなくて大丈夫
一方で、Astraが最終的にどんな名前で世に出るのか、機械が解いた証明を賞の対象にしてよいのか、といった議論は追わなくて大丈夫だと思っています。決着には時間がかかりますし、決着したところで来週の自分の判断は変わりません。同じ週に流れたモデルの順位や、各社の投資額、研究所の人事の話も同じです。数字は毎月書き換わりますし、書き換わったことは向こうから伝わってきます。急いで拾いに行く必要はないと考えています。
■ もし決めるなら、ここだけ
もし一つだけ決めるなら、いまAIに任せている仕事を一つ選んで、「これは何をもって合格とするか」を一文で書いておくことだと思います。合格の線が言葉になっていないと、確かめる作業そのものが毎回やり直しになるからです。誤りをゼロにはできませんが、見えやすくすることはできます。根拠を必ず示させる。確信がないときは、そう言わせる。答えの形を先に決めておく。そして、出てきたものを別の目で確かめる。この四つのうち、いま自分が実際にやっているのはどれかを確かめるだけでも、任せてよい範囲の輪郭は見えてくるように思います。
確かめ方が先にある仕事から、AIは静かに入ってきます。順番が逆になっていないか、そこだけ見ておけば十分ではないかと思います。
よろしければ、こちらから。入力のNG/OKラインとテスト質問をまとめた4点セットです。
https://www.narumitakayoshi.com/pl/2148741973
QAILaboratory
代表 鳴海貴慶
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