Officina Vitae

記録 アート 音楽 円卓 研究所 お問合せ
ログイン
← Back to all posts

QAILaboratory|海外企業のAI活用、真似すべきは仕組みのほうですか、規模のほうですか

Jul 23, 2026
Connect

こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。

先週、AnthropicとBlackstoneが、次に大きく育つAI事業は基盤モデルそのものではなく、それを現場に組み込む「実装」の側だ、という見方を示しました。あわせてAnthropicのボリス・チェルニーは、AIに毎回推測させるのではなく、社内の決まりごとをコードやドキュメントに直接書き込む企業が増えている、と説明しています。

海外の大企業が大規模にAIを入れた、という話を見ると、同じ規模を揃えないと遅れる、と焦ります。ただ、先週語られていたのは、規模の大きさではなく、現場に合わせた組み込みのほうだったと思います。

■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ

目を留めておいてよいと思うのは、「モデルより実装」という言葉の向きです。どの高性能なモデルを選ぶか、という話から、自分たちの決まりごとをどう残し、どう守らせるか、という話へ、重心が移り始めています。同じ道具でも、社内のルールが曖昧なまま渡すと、毎回ばらついた使われ方になります。逆に、守ってほしい線を先に書いておけば、道具が変わっても運用は崩れません。派手さはありませんが、成果を分けるのは、たいていこちら側だと思います。

■ ほとんどは、追わなくて大丈夫

一方で、各社がいくら投資したか、いくつのタイトルでAIを使ったか、どのモデルを採用したか、といった規模の数字は、急いで追わなくてよいと考えています。規模の大きさは、あなたの現場でうまくいくかどうかとは、ほとんど関係がありません。他社の事例は、規模を真似る対象ではなく、「どんな決まりごとを先に置いたか」を読み取る材料として見るほうが、はるかに役に立ちます。金額の桁に驚いている間は、たいてい自分の現場は一歩も進みません。

■ もし決めるなら、ここだけ

もし一つだけ決めるなら、AIの使い方を広げる前に、三つのことを先に書き出しておくことだと思います。何を達成したいのか、そのために必要な作業は何か、そして、何をもって「うまくいった」とするか。この三つ目、成功をどう測るかを決めずに広げると、忙しく使っている割に、成果があったのか分からない状態になりがちです。紙一枚に、目標・やること・完了の目印を一行ずつ書く。それだけで、道具を配って終わり、という状態からは離れられます。真似するなら規模ではなく、この「先に決めておく」という順番のほうだと思います。

決まりごとの最初の一歩として、AIに渡してよい情報とだめな情報の線引きや、ズレたときの直し方を、四点セットで10分ほどで作れるテンプレートを置いています。よろしければ、こちらから。

https://www.narumitakayoshi.com/pl/2148741973

QAILaboratory

代表 鳴海貴慶

HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com

ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/

LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/

返信

会話に参加する
t("newsletters.loading")
読み込み中...
QAILaboratory|画像ツールは「どれが一番か」より先に、決めておく一つがあります
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週、ByteDanceが画像生成モデル「Seedream 5.0 Pro」を公開しました。完成した画像を、背景・人物・文字といった要素ごとのレイヤーに分解でき、そのままFigmaやPhotoshopで開ける形で出せるのが新しい点です。GPT Image 2、Google DeepMindのNano Banana Pro、Ideogramのv4と合わせると、主要な画像モデルは4つに用途が分かれてきました。どれが一番か、という見出しをよく見かけます。ただ、この問いはあまり役に立たないと考えています。それぞれ得意な仕事が違うので、一番を決めても、自分の用途に合うとは限らないからです。■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ目を留めておいてよいと思うのは、個別のモデル名よりも、「きれいな一枚」から「あとで直せる素材」へと、道具の性格が移り始...
QAILaboratory|「最強モデル」が入れ替わっても、急いで乗り換えなくていいと考えています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。 先週、中国のMoonshot AIが、オープンウェイトの大規模モデル「Kimi K3」を公表しました。フロントエンド開発を競うアリーナで、これまで上位だったClaude Fable 5を抜いて首位に立ちました。重みの一般公開は7月27日が予定されています。 最強のモデルが入れ替わった、という見出しを見ると、乗り換えを急がなければ、という気になります。ただ、順位が動いたことと、それがあなたの仕事に合うかどうかは、別の話だと思います。 ■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ 目を留めておいてよいと思うのは、個別の順位よりも、オープンなモデルが実務で使える水準に並び始めた、という潮目のほうです。これまでは「公開されているモデルは、いつも一歩遅れる」というのが暗黙の前提でした。その前提がひとつ崩れたことは、長い目で見ると効いてきます。特定...
今週、こんなものを書きました|AIと、ことばと、音楽
こんにちは。鳴海です。   今週、こんなものを書きました。   ■ 性能が良くても、使えなくなることがあります ― AIに規制が降りてきた月の記録   AI規制の動きから、性能だけでなく「使い続けられるか」と「誰が責任を負うか」を考えました。   https://www.narumitakayoshi.com/blog/ai-regulation-202606   ■ 静かに満ちていく|曲と歌詞   朝のこわばりから、名もない温度が呼吸とともに静かにひらいていくまでを描いた曲です。   https://www.narumitakayoshi.com/blog/song-shizuka-ni-michite-iku   ■ 一枚のコーヒー写真は、どこまで広告になるか ― 動画生成AIで確かめたこと   一枚の写真から、商品の形を守りながら短い広告映像をつくる過程を記録しました。   h...

QAI Laboratory

現場視点で読み解く、生成AI×品質技術×業務最適化の実践知。AIの情報が多すぎる中で「今週どれを追い、どれは追わなくていいか」を、鳴海の視点でお届けします。生成AIを実務に活かしたい方へ。 毎週の配信: 月:AI全般 ― 今週の注目の動き 水:AIツール ― いま試す価値のあるもの 金:海外企業のAI活用 ― 事例と自社への活かし方 日:物語 ― 現場の一場面を描いた読み物

Officina Vitae

記録 円卓 研究所 お問合せ プライバシーポリシー X Facebook Spotify アート 音楽
© 2026 Takayoshi Narumi