QAILaboratory|海外の大がかりな事例は、今週も真似しなくて大丈夫です
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
Imperial College Londonの研究チームが、通常の心電図を2秒未満で読み、心不全を81%、弁膜症を90%の割合で見つけるAIモデルを公表しました。1,060万件の心電図で学習し、6万5千人の患者で検証したもので、心電図そのものは病院で年10億件以上が毎年実施されています。6病院・590人規模の試験を始め、2年以内に公的医療の日常運用へ組み込むことを目標としています。
海外のAI活用というと、新しい仕組みを一から組み上げる話に見えがちです。ただ、この事例で新しく集めたデータはありません。毎年10億件すでに取っていたものを、もう一度読み直しただけです。
使い方が広がる速さと、把握が追いつく速さは、別々に進みます。派手な事例ほど、後者は見えにくくなります。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
目を留めておくとよいのは、「すでに手元にあるのに、後から読み返していない記録」を読み直す型の使い方です。心電図は、撮ることが目的になっていて、撮った後にもう一度見返す機会がほとんどなかった記録でした。
この型は、始めるまでの距離がいちばん短いという特徴があります。新しくデータを集める工程も、現場に新しい入力作業を頼む手間もいりません。
すでに毎回発生しているものを対象にするので、効果があるかどうかも、過去の分で先に確かめられます。うまくいかなければ、そこで止めても誰の手も止まりません。
■ ほとんどは、追わなくて大丈夫
海外企業の大がかりな構成は、ほとんど追わなくて大丈夫です。エージェント(人が指示しなくても手順を進めるAI)を何本組み合わせた、生産性が何倍になった、何時間削減した、という数字が並ぶ事例が今週もありました。
ただ、その多くはサービスを提供する側の発表で、第三者の検証がついていません。加えて、組織の規模も、扱っているデータ量も、専任の担当がいるかどうかも違います。数字だけ持ち帰っても、そのままの形では動きません。
参考にするなら、達成した数字ではなく、どこに人の確認を残したか、のほうだと思っています。
■ もし決めるなら、ここだけ
もし決めるなら、自分の現場で「毎回とっているのに、後から読み返していない記録」を一つだけ選ぶことです。議事録、問診票、見積の履歴、日報。どれでも構いません。
選んだら、渡す前に三つだけ決めておくと落ち着きます。渡す範囲をその一種類に絞ること。見る人が本来見てよい範囲を超えないこと。そして、いつでも止められる形にしておくこと。この三つが揃っていれば、試すこと自体は小さく始められます。
心電図の事例が示しているのは、AIの賢さの話というより、見返されていない記録が現場にどれだけ眠っているか、ということのほうかもしれません。
よろしければ、こちらから。AIに渡してよい情報・渡さない情報の線引きを、そのまま使えるテンプレートにして無料で配布しています。
https://www.narumitakayoshi.com/pl/2148741973
QAILaboratory
代表 鳴海貴慶
HP https://qailaboratory.narumitakayoshi.com
ブログ https://www.narumitakayoshi.com/blog/
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/takayoshi-narumi-9869a527a/
返信