QAI Laboratory
現場視点で読み解く、生成AI×品質技術×業務最適化の実践知。AIの情報が多すぎる中で「今週どれを追い、どれは追わなくていいか」を、鳴海の視点でお届けします。生成AIを実務に活かしたい方へ。 毎週の配信: 月:AI全般 ― 今週の注目の動き 水:AIツール ― いま試す価値のあるもの 金:海外企業のAI活用 ― 事例と自社への活かし方 日:物語 ― 現場の一場面を描いた読み物
QAILaboratory|その「合っていそうな答え」、誰が最後に確かめていますか
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、OpenAIはGPT-5.6ファミリー(Sol・Terra・Luna)を、米政権による審査を経て公開しました。同じ週、Anthropicは、Claudeが内部に神経科学の意識理論に似た「global workspace」という構造を自発的に持つことを発見したと発表しています。
新しいモデルが出るたびに、その性能差を確かめてから次を選ばなければならない、という気になります。ただ、モデルの入れ替わりの速さそのものは、今週決めることの本質とは、あまり関係がないように思います。乗り換えの判断は、道具が変わるたびに何度でもやり直せま...
Jul 13, 2026
QAILaboratory|AIが一度も迷わなかった書類を、そのまま出した日
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
彼は、社会保険労務士として、小さな事務所を一人で回している。その朝、コーヒーを淹れながら開いた記事に、少し手が止まった。アメリカのFordが、AIを広げた反動で、退職していたベテラン技術者を350人ほど呼び戻したという。効率を上げたはずが、品質のどこかがほころびたらしい。彼は「うちには関係ない話だ」とつぶやいて、カップを置き、その日の書類にとりかかった。
ここ数か月、彼は下書きの多くをAIに任せていた。就業規則の整備も、手続き書類の作成も、頼めば整った形で返ってくる。速くなった分、顧問先とゆっくり話す時間が増えた。悪くない、と思っていた...
Jul 11, 2026
QAILaboratory|大きなAI導入の話が、そろって「線引き」に戻り始めています
おはようございます、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、ヘッジファンドのBridgewaterは、自社の投資判断データで訓練した小型のAIが、専門家の評価データを使った再訓練で正答率84.7%に達し、そのコストを大手の汎用モデルの約14分の1に抑えた、と報じられました。汎用モデルの平均は約50%でしたから、特定の仕事に絞って仕込んだAIが、汎用の強いモデルを上回った形です。
海外の大企業がAIで成果を出したと知ると、その導入のやり方を真似れば、自分たちも同じように成果が出る、と思いがちです。ただ、今週のいくつかの事例を並べてみると、効いていたのは規模や派手さではなく、「どこを人...
Jul 09, 2026
QAILaboratory|今週のAIツール、ほとんどは乗り換えなくて大丈夫です
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
先週は、AnthropicのClaude Sonnet 5とClaude Scienceが同時に公開され、GoogleはGemini Omni FlashとNano Banana 2 Liteを投入しました。開発者向けでも、Cursorがコーディングエージェントをスマホから監督できるiOSアプリを出し、xAIは音声でコードを書けるGrokの機能を立て続けに追加しています。新しい道具が、一週間のうちに一斉に並びました。
これだけ一度に出そろうと、どれか強いものに乗り換えないと出遅れる、という気持ちになります。ただ、道具が新しいことと、それ...
Jul 08, 2026
QAILaboratory|どれが賢いかより先に、止まっても困らない一つを決める
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、AnthropicのFable 5とMythos 5が、米商務省による約18日間の輸出規制を解除され、7月2日に世界向けの提供が再開しました。
同じ週、OpenAIのGPT-5.6は、政府の審査プロセスの下で、当面は約20社の限定パートナーにのみ公開されています。
あわせて、OpenAIのサム・アルトマンは、政府への5%の株式譲渡案と、国際的なAI安全フォーラムの構想を、FTへの寄稿で示しました。
こうした話が続くと、どのモデルが一番賢いかを追いかけていれば間違いない、という気がしてきます。ただ、今週の動きが示しているのは、賢さの...
Jul 05, 2026
QAILaboratory|「正しいのに、何か違う」と言われた日
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
その税理士事務所の所長は、顧問先からの電話を切ったあと、しばらく受話器を見ていました。「先生、間違ってはいないんだけど……なんというか、いつもと違って」。長く付き合ってきた、少し心配性の社長からでした。内容に誤りはありません。数字も、制度の説明も合っている。それなのに、相手は何かが足りないと言う。
この一月ほど、彼は顧問先へのメール返信を、AIに下書きさせていました。速いし、文章もていねいです。送る前にざっと目を通しても、直すところはほとんどない。助かっていました。
電話のあと、彼はAIに任せる前の、自分の古い返信を読み返してみました。...
Jul 04, 2026
QAILaboratory|海外大手を真似る前に、人が最終確認を残す一点を決める
おはようございます、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、Samsungが社内全体にOpenAIのChatGPT EnterpriseとCodexを配備すると発表しました。英国のAI法律事務所Garfield AIは、書類作成をAI・法廷弁論を人が担う分担で、未払い金請求の裁判に勝ちました。中国のZ.aiは、最大100万トークンを扱えるオープンウェイトのモデル「GLM-5.2」を公開しています。
数字も規模も大きく、つい「うちも急いだほうが」と感じてしまいます。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
一つ挙げるなら、Garfield AIの分担だと考えています。注目したいのは...
Jul 02, 2026
QAILaboratory|AIが、あなたの作業手順そのものを覚え始めています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、OpenAIがCodexに「Record & Replay」を追加し、Macの操作を一度録画すると同じ手順を再現できるようにしました。GoogleはGemini 3.5 Flashにパソコン操作の機能を持たせ、画面を見てクリックや入力まで行えるようにしています。NotionはClaudeやCursorをワークフローに組み込む「External Agents」を公開しました。
便利そうなものばかりで、ぜんぶ試さないと落ち着かない気がしてきます。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
一つ挙げるなら、OpenAIのRecord &...
Jul 01, 2026
QAILaboratory|AIに任せるその仕事、最後に誰が責任を持ちますか
おはようございます、QAILaboratoryの鳴海です。
先週、AnthropicがSlack上でClaudeに仕事を任せられる「Claude Tag」を発表しました。OpenAIは推論用の自社設計チップ「Jalapeño」をBroadcomと公表しています。米ホワイトハウスは、安全性の確認を理由にGPT-5.6の公開を政府承認のパートナーに限定しました。
どれも大きな話で、ぜんぶ把握しておかないと不安になるかもしれません。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
一つだけ挙げるなら、AnthropicのClaude Tagのように、AIが「使う道具」から「任せる相手」へ動き始めた点...
Jun 29, 2026
QAILaboratory|作れた後に、誰が何を根拠にOKを出すか
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
たとえば、こんな夕方があります。
スタッフから、商品画像が一枚送られてくる。「この画像で進めていいですか」。開いてみると、悪くない。むしろ、よくできている。けれど、なぜか即答できない。「よさそう」と打ちかけて、消す。「もう少し自然に」と送ってみるけれど、自分でも、どこをどう自然にしてほしいのか、うまく言えていない。
画面の前で、数分、止まる。
作る側の道具は、もう十分に揃いました。誰でも、きれいな画像が出せる。けれど、出てきた一枚を仕事に出してよいか――その「止める力」の方は、まだ多くの場合、勘のままに残っています。あの夕方の数分は、た...
Jun 29, 2026
同じ指示でも、AIの答えはこんなに変わります
こんばんは。鳴海です。
前回、AIマーケティング実装ラボ 第1期のご案内をしました。 今日は、ラボで作る「13個のファイル」が どう役に立つのかを、実物で見ていただきます。
まず、同じお願いをAIにしてみます。 お願い:「肩こりの人向けに、Instagramの投稿を1つ作って」
▼ ファイルなしのAI どこの整体院でも書けそうな、ふつうの文章が出てきます。 「改善します」と言い切るだけで、その院らしさはありません。
▼ 13個のファイルを渡したAI お客さんの本音(「もんでもすぐ戻る」)から始まり、 「なぜ痛むのかを説明する」「家でできるケアも教える」という、 そのお店ならではの考えが、...
Jun 20, 2026
QAILaboratory|AIの性能を比べる前に、決めておく1つ
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
先週、とても高性能なAIが一般に公開されました。性能の話題は尽きませんが、こういう週ほど先に決めておくと強いものがあります。それは「自分が最終的に責任を持つ判断はどれか」です。道具が強くなるほど、ここを持っているかどうかで差がつきます。今日はその1つを一緒に決めます。
■ なぜ今これか
Anthropicが新しい高性能モデル「Claude Fable 5」を一般公開し、同じ週に「性能を秘かに絞っていたのではないか」という議論も起きました。つまり、強い道具でも中身が見えない場面はある、ということです。だからこそ、性能を迥う前に「自分が手放...
Jun 18, 2026
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