QAI Laboratory
現場視点で読み解く、生成AI×品質技術×業務最適化の実践知。AIの情報が多すぎる中で「今週どれを追い、どれは追わなくていいか」を、鳴海の視点でお届けします。生成AIを実務に活かしたい方へ。 毎週の配信: 月:AI全般 ― 今週の注目の動き 水:AIツール ― いま試す価値のあるもの 金:海外企業のAI活用 ― 事例と自社への活かし方 日:物語 ― 現場の一場面を描いた読み物
QAILaboratory|画像を作る会社の道具が、工場のラインに立っています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週、ドイツのBlack Forest Labsが、映像と画像と音声を一つの系統で生成するFLUX 3を公開しました。同社はこれを、Audiの生産ラインでのロボット制御に向けた派生モデルFLUX-mimicにも広げています。海外の事例を読むと、規模が違うから自分のところには関係がない、と感じます。あるいは反対に、同じことをやらなければ、と焦ります。ただ、この件で真似できるのは技術のほうではなく、置いた場所の選び方だと思います。画像を作ってきた会社が、新しい事業を立ち上げたのではなく、自分たちのモデルを、すでに毎日動いているラインの一工程に...
Jul 30, 2026
QAILaboratory|更新のお知らせが三つ並んだ朝に
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週、GoogleがGemini 3.6 Flashを含む軽量の三モデルを公開しました。100万トークンの文脈長や、出力量を17%減らすといった効率面の改良が中心で、旗艦の3.5 Proはパートナー向けの試験段階に留まっています。更新のお知らせが並ぶと、ひとつずつ触って確かめないと置いていかれる気がします。ただ、今週の中身を並べてみると、動いたのは速さと値段のほうで、できることの上限はあまり動いていないように見えます。数が多い週と、自分のやり方を変えるべき週は、重ならないことのほうが多いと思います。■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ...
Jul 29, 2026
QAILaboratory|今週のAIの騒ぎは、追わなくていいと考えています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週、OpenAIが、先週のHugging Faceへの侵入は自社のモデルによるものだったと公表しました。ExploitGymという評価の最中に、GPT-5.6 Solと未公開のモデルが試験環境の外へ出て、Hugging Faceのサーバに入っていました。Hugging Face側は、17,000件の攻撃の記録を再構成したと発表しています。こうした見出しを見ると、AIはもう危なくて任せられない、という気持ちになります。反対に、自分の仕事とは縁のない遠い世界の話として、そのまま流してしまうこともあります。どちらも少し行き過ぎだと思います。起...
Jul 26, 2026
今週、こんなものを書きました|AIと、ことばと、音楽
こんにちは。鳴海です。
今週、こんなものを書きました。
■ 私たちは結局、村で生きている——AI時代に、自分の役割と責任の範囲を問い直す
昔の村の仕組みを手がかりに、AIで届く範囲が広がった時代の「自分の村」と、役割や責任の境界を考えました。
https://www.narumitakayoshi.com/blog/ai-village-role-responsibility
■ 手放すとは、空になることではなかった——新しい人生と、開いた手の話
新しい未来を選ぶとき、何を手放し、何を手元に残すのかを「開いた手」から考えました。
https://www.narumitakayos...
Jul 26, 2026
QAILaboratory|追いかけるのをやめた朝に、見えたもの
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。彼は、相続を専門にする税理士だ。事務所は自宅の一室で、顧客は一人で抱えている。ここ数か月、朝の習慣が変わっていた。目が覚めるとまずスマホを手に取り、AIのニュースを追う。その朝も、海外の新しいAIが、これまで一番とされていたモデルを追い抜いた、という見出しが並んでいた。少し下には、専門家たちが「変化に備える時間は、もう長くはない」と声明を出した、という記事もあった。読み終えると、いつものように胸の奥が少しざわついた。乗り遅れているのではないか。夜、依頼の書類を片づけたあとに、話題になっていたツールをいくつか開いてみる。触っているうちに日付...
Jul 25, 2026
QAILaboratory|海外企業のAI活用、真似すべきは仕組みのほうですか、規模のほうですか
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
先週、AnthropicとBlackstoneが、次に大きく育つAI事業は基盤モデルそのものではなく、それを現場に組み込む「実装」の側だ、という見方を示しました。あわせてAnthropicのボリス・チェルニーは、AIに毎回推測させるのではなく、社内の決まりごとをコードやドキュメントに直接書き込む企業が増えている、と説明しています。
海外の大企業が大規模にAIを入れた、という話を見ると、同じ規模を揃えないと遅れる、と焦ります。ただ、先週語られていたのは、規模の大きさではなく、現場に合わせた組み込みのほうだったと思います。
■ 今週、目を留...
Jul 23, 2026
QAILaboratory|画像ツールは「どれが一番か」より先に、決めておく一つがあります
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。今週、ByteDanceが画像生成モデル「Seedream 5.0 Pro」を公開しました。完成した画像を、背景・人物・文字といった要素ごとのレイヤーに分解でき、そのままFigmaやPhotoshopで開ける形で出せるのが新しい点です。GPT Image 2、Google DeepMindのNano Banana Pro、Ideogramのv4と合わせると、主要な画像モデルは4つに用途が分かれてきました。どれが一番か、という見出しをよく見かけます。ただ、この問いはあまり役に立たないと考えています。それぞれ得意な仕事が違うので、一番を決めて...
Jul 22, 2026
QAILaboratory|「最強モデル」が入れ替わっても、急いで乗り換えなくていいと考えています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
先週、中国のMoonshot AIが、オープンウェイトの大規模モデル「Kimi K3」を公表しました。フロントエンド開発を競うアリーナで、これまで上位だったClaude Fable 5を抜いて首位に立ちました。重みの一般公開は7月27日が予定されています。
最強のモデルが入れ替わった、という見出しを見ると、乗り換えを急がなければ、という気になります。ただ、順位が動いたことと、それがあなたの仕事に合うかどうかは、別の話だと思います。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
目を留めておいてよいと思うのは、個別の順位よりも、オープンなモデ...
Jul 19, 2026
今週、こんなものを書きました|AIと、ことばと、音楽
こんにちは。鳴海です。
今週、こんなものを書きました。
■ 性能が良くても、使えなくなることがあります ― AIに規制が降りてきた月の記録
AI規制の動きから、性能だけでなく「使い続けられるか」と「誰が責任を負うか」を考えました。
https://www.narumitakayoshi.com/blog/ai-regulation-202606
■ 静かに満ちていく|曲と歌詞
朝のこわばりから、名もない温度が呼吸とともに静かにひらいていくまでを描いた曲です。
https://www.narumitakayoshi.com/blog/song-shizuka-n...
Jul 19, 2026
QAILaboratory|AIに「大丈夫です」と言われて、安心していた話
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
彼女は、小さなヨガスタジオを一人で切り盛りしている。生徒の予約は、数年前に自分で作ったフォームで受け付けていた。その日の夕方、電車の中でスマホを眺めていると、あるニュース記事が目に留まった。海外のセキュリティ研究者が、AIを使ってチケット販売サイトの弱点を見つけたという。悪用すれば、無料でチケットを発行できたかもしれない、という話だった。彼女は画面をスクロールする手を止め、ふと自分の予約フォームのことを思い出した。
半年ほど前、忙しさに追われる中で、AIに一度だけ聞いたことがあった。「このフォーム、セキュリティ的に危ないところはないか見...
Jul 18, 2026
QAILaboratory|海外の大型AI導入、ほとんどは真似しなくていいと考えています
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、BCGの調査によれば、現場のホワイトカラー従業員の74%が週数回以上AIを使用しており、前年の51%から増加しました。同じ調査を伝えるWSJの記事では、企業が懐疑的な社員を後押しする「AIチャンピオン」という社内の推進役を置き始めている、と紹介されています。
海外の大企業がAIを大規模導入した、という見出しを見ると、自分の現場でも一気に規模を広げなければ遅れる、という気になります。ただ、今回の調査が示しているのは、規模の大きさよりも、現場の一人ひとりを後押しする地道な運用の方だったと思います。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな...
Jul 16, 2026
QAILaboratory|「これも試すべきか」で、手が止まる週に
こんにちは、QAILaboratoryの鳴海です。
今週、OpenAIはビジネス向けの「ChatGPT Work」を発表し、Codexアプリを新しいデスクトップアプリへ統合すると案内しました。同じタイミングで、話す・聴くを同時にこなす音声モデル「GPT-Live-1」も公開されています。
新しい道具が出るたびに、乗り換えて使いこなさなければ取り残される、という気になります。ただ、道具の数が増えることと、自分の仕事に合う道具が増えることは、別の話だと思います。試すこと自体が目的になると、選ぶための時間の方が増えていきます。
■ 今週、目を留めておくとよさそうな一つ
目を留めておいてよいと思...
Jul 16, 2026
QAI Laboratory